「火宅(かたく)」 : 燃え立った家(サンスクリット語)
人間とは燃える家の中で 気付かず遊ぶ子供のようなもの
<解説>
無頼派の 「檀一雄」 は 晩年に 「火宅の人」 という作品を残した
愛人女優との破滅的な愛の生活を描いたもので
この題名の 「火宅」 は仏教用語で 「この世を」 あらわす
サンスクリット語で 「燃え立った家」 を意味する
なぜ 「この世」 が 「燃え立った家」 なのか?
「法華経」 の中には こんな比喩話が語られている
ある長者の家が 突然 火事になった
長者は直ぐに逃れ出たが 家の中に子供達が遊んでいる
長者は必死に呼びかけるが 怖さを知らない子供達は 遊びに夢中で動こうとしない
そこで長者は考えて 「おもちゃをあげるから出ておいで」 と呼び ようやく救い出した
ここで長者=仏陀 子供=われわれ衆生のことである
この世は不快や苦によって燃えている
その火に身を焼かれながら 知らずに 目先の利を求める
仏陀はそんな衆生を導き 救おうとしているのである
「法華経」 の書かれた時代から1000年以上も経過したこの世に
燃えさかる火のタネは増えるばかりである
そして その火は この世(煩悩) のある限り燃え続ける
仏陀が世直しをするのではなく
仏心をもつ人格者が世の中のリーダーであらあねばならない
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