愚かな人に 念慮(オモンバカリ) 起こるとも
他を利せん心なくば その念慮 かえって自らの好運を滅ぼし
己れの頭(カシラ) をも打ち砕く・・・(法句経)
<解説>
こんな笑い話の紹介をしよう
一人の男が雪道を歩いていた ふと見ると 財布が落ちていた
「こりゃ ありがたい」 と思って拾おうとしたら人がやってくる
「こりゃ まずいなあ」 と判断した
人が見ているところで拾えば警察に届けなくちゃならん
何とかそっくりそのまま頂戴したいが 俺が拾わないと あいつが拾う
どうしたらいいだろう・・・と思った
そこで とっさに 財布を踏んで 立ち小便をすることにした
相手が通り過ぎるのをしばらく待ったのだが そこで眼が覚めた
「なんだ 今のは夢か それにしても惜しいことをした」 と思っていると
どうもおかしいことに気付いた
なんだか腰まわりが生暖かいではないか まさかと思ったが そっと手を伸ばしてみた
落ちていた財布は夢であったが もらした小便は本物であったという
愚かな男の話である
人間は所有欲や独占欲が強いもので ブレーキが弱いと
次々と欲望が生まれて自らも苦しみ他人と争うことになる
人間は一人では生きられない お互いの愛情と協力に支えられ生かされている
そこで 「取る心 ・ 奪う心」 をコントロールして
更には一歩前進して自分の力や物を 「施し与える」 ことは
人間として目覚めた 崇高な生き方である
我々は時折 「心のオーバーホール」 をして 汚れたオイルを交換するように
心の入れ替えをすることが大事である
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