自分は名人だと思ったとたん その人は名人でなくなる
<解説>
TVインタビューで ダイエーの王監督が現役時代のスランプ脱出法を
「ただ一心に 我を忘れて素振りを繰り返すだけです」 と答えていた
頭でいくら考えてもスランプは深くなる ただバットを振るしか方法は無いというのである
素振りが1000回を超えると 手はしびれて感覚が無くなってくるそうだ
それでも更に続けると どこかある一点のところで フーッと体が軽くなり
手足の感覚がなくなっているにもかかわらず 何の気負いも無く バットだけがスーッと
しかも 鋭く振れていく しかも 体は振っているという意識はまるで無い
この境地がつかめたとき スランプを脱出できたという
このインタビューを聞いたとき この境地が仏教でいう 「無我」 の境地と同じだなと思った
手足が痛いなどといっているときは 「慢」 である
我慢というぐらいだから 「我」 がまだ存在している
仏教では この我慢を更に突きぬけろと教えているのである
そして到達するのが 「無我」 である
自分の体が自分のものでなくなるとき 「無我」 は訪れ 自分を超えた力になる
この力は自分が名人だと思ったら効果を失うだろう
名人という 「我」 がそこに生じ存在するからである
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