人間は 怒り 悩み 妬みなどの「妄想」を絶えず
持ちながら一生を終えていく 逆に言えば
こうした妄想を起こすことが 生きている証でもある
しかし いったん心に芽生えた妄想を
あるにまかせて持続させるのでは あまりにも貧しい
禅には「滴水滴凍(てきすいてきとう)」ということばがある
一滴の水が たまるのを待たず凍る様をいう 一転して
心に生まれた妄想をいつまでもくすぶらせることなく
そのつど 浄化させよという意味に用いる
こうしてドライフラワーと化した妄想は 自分の心の内を
客観的に見る格好の鏡となるのである