唐末五代に芭蕉慧清(ばしょうえし)という禅僧がいた
この僧にある人が訪ねた「いかなるか これ吹毛の剣」
吹毛の剣とは 毛を吹きつけると
それが切れるほど鋭利な剣のことである
そういう剣を突きつけられたとき どうしたらいいかと聞いたのである
すると僧は「前へ三歩進め」と言った
別の者が「それだけでよろしいのか」とたずねると
今度は「うしろへ三歩さがれ」と答えた
勇敢に進むことも必要だが 退くことも知るべし
いつも退くことしか考えぬ者は 進むことも心得よ との意だ
攻撃は最大の防御であり 防御は最大の攻撃である