「南泉斬猫(なんせんざんみょう)」は 禅語「無門関(むもんかん)」に出てくる公案である
あるとき一匹の猫を前にして 修行僧どもが何やら議論をしていた
そこへ南泉が来て言った
「だれでもよい この猫のために何か言え 正しいことを言えば猫を救ってやる
何も言えぬなら斬ってしまうぞ」
だが ひとりとして声がなく 南泉はやむなく猫を斬った
この後 南泉の高弟である趙州(じょうしゅう)が外から帰り 話を聞くと
履いていた草履を頭に載せて黙って部屋を出ていった
これを見て南泉は「あいつがいれば 猫を殺さずともすんだものを」とつぶやいたという