中流意識ではなく 中堅意識をもとう
<解説>
俳人 ・ 小林一茶の句に 「めでたさも 中くらいなり おらが春」 というのがある
この句の 「中くらい」 については 古来 議論があった
一茶はこれでもって 仏教の 「中道」 の精神を言っているのだという
解釈が多数派である 「中道」 とは
極端に偏しないことで まちがいなく仏教の根本思想である
しかしわたしは あまりこの句が好きでない
どうしても現代日本人は 「中流意識」 に毒されている
日本人の 「中流意識」 は 大勢順応型のムード的な意識である
だから 体制迎合になってしまう
わたしは いまの日本人に必要なのは 「中堅意識」 だと思う
どんな国家であろうと それを支えているのは庶民である
その庶民が 自分こそが日本を支える中堅の人間だという自覚をもって
文化を守り 教育を守り 国語を愛し 自然を保護していかねばならないと思う
だれがなんと言おうと 流行語は使わぬ 紅白歌合戦は見ない
マイカーは持たない・・・くらいのへそ曲がり意識がないと すぐにわれわれは
大勢(体制)に押し流されてしまうだろう
仏教の 「中道」 は けっして 「中くらい意識」 ではない
「大勢(体制)」 を否定する強靭な精神に支えられた中堅意識なのだ
だから へそ曲がりのほうが わたしたちは 「中道」 に近いと思っている
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