「思い込み」 というメガネで ものを見てはいけない
<解説>
アメリカのある心理学者が 外界が天地も左右もあべこべに見えるメガネをつくり
それをかけて8日間生活した
空が下にあって道路が上にあり 人間が頭を下にして逆さまに歩く 実に奇妙な感じだったが
それは初めのうちだけで 慣れてしまえばなんでもなかったということだ
逆に 8日後になってメガネをはずすと 外界がとても奇異に感じられたという
この実験は われわれが普段 正常と思い込んでいることが如何にあてにならないかを示している
惚れてしまえば アバタもエクボとなって 自分の恋人はだれしもが すばらしい美人だと思っている
自分の子どもは 他人の子より出来がいいと思いたい
五十歩百歩 人はみな 最初から 「思い込み」 というメガネでモノを見ている
仏教は 「そのようなメガネを取れ」 と教える メガネを取って事物をありのまま見よと
ありのままに見るーーーそれを 「如実知見(にょじつちけん)」 という
欲望に狂った目で眺めず 先入観を捨てて対象をとらえることが 禅の理想とするところである
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