寒ければ 仏像を薪にして暖をとればいい
<解説>
丹霞天然(たんかてんねん) は中国唐代の禅僧だが さまざまな奇行をやってのけた
慧林寺という寺にきたとき あまりにも寒いので本堂から木像を持ち出して
それを薪にして暖をとった 「こりゃ 暖かくていい気持ちだワイ」 と尻をあぶっている有様をみて
慧林寺の和尚は腰を抜かしたという だが 天然は奇をてらったわけではなく
別段気がふれたわけでもない ありがたいほとけさまだと思って仏像をおがむ
そのときすでに 人はひとつの常識にとらわれている
それをこの禅僧は打ち破ろうとした いや そのような解釈すら 「常識」 の所産だと
「わたしは そんなつまらんことは考えぬ 寒かったから燃やしたまでよ」 と 天然はいうはずである
理屈などいらぬ 常識も道徳もくそくらえだ そんなものに一切とらわれない 自由な境地
自然な振舞いが禅僧なのだ
丹霞天然は この境地を 仏像を燃やして暖をとる行為であらわしたのである
日本では 一休宗純禅師が奇行 風狂の禅師と言われた
この域を世人がたやすく理解できるとは思えないが・・・。
|