何かに熱中しているときは 暑さ寒さを忘れる
<解説>
人間の五感があてにならないことは 日常しばしば経験するところだ
夢中で何かをしているとき暑さ寒さは気にならないし 「ふところの暖かい」 人がいれば
「師走の風が身にしむ」 人もいる 結局 気のもちようである
「心頭を滅却すれば・・・」 は 信長に焼き打ちされた恵林寺の快川和尚の言葉として有名だが
原典は中国六世紀の詩人杜旬鶴(とじゅんかく)の次の詩にある
「三伏 門を閉ざして一衲を披す 兼ねて松竹の房廊を蔭う無し 安禅は必ずしも山水を須いず
心頭を滅却すれば火 自ら涼し」
炎暑の季節なのに 師は門を閉め切り 破れ衣をまとっていられる
庭には蔭をつくる樹木もない
しかし 坐禅には 別に静かな山中や水辺でなくてよいのだ 師のように 心を空にすれば
火のような暑さも苦にならない
人間の苦悩や悲しみも同じこと 苦しみや悲しみから逃げようとせず
同化をすれば 苦は苦でなくなるのである
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