＜解説＞

「汝　自らを知れ」　とはギリシャの哲学者ソクラテスの有名な言葉だが

自分を知ることほどむずかしいことはない

自分を知らないからこそ　さまざまな邪心が生まれてくるのだ

なにしろ　真言密教の基本経典といわれる 「大日経」 は

人間の心を　貪心（とんしん）商人心（しょうにんしん）など百六十に分類しているのである

この百六十のうち　自分の心に宿っているものが何かを知ることは至難の業である

それだけに　あるがままのおのれを見つめ　自省する態度が求められる

自分を知ることは　すべてを知ることにつながるが 　　　　　　　　　　

すべてを知っても自分を知ることではない