敵を知るより まず おのれを知れ
<解説>
IT業界の風雲児といわれた彼には やはり腋の甘いところがあった
「人の懐ばかり覗き込んでいて 自分の方がお留守になった」 典型である
会社の従業員やその家族の生活を左右するだけに
経営者たるものは 社会的影響を常に頭において 経営判断をせねばならない
「金さえあれば何でも買える」 といった考えが彼の最大欠点である
企業人には常に社会から 「信用」 や 「信頼」 の関係が求められる
古来から 「マネーゲーム」 や 「土地ころがし」 で急成長しても
優良性や歴史のある企業として簡単には世間が認めてくれない
一方で 社会にも 「誰かが何とかしてくれる」 という安易な風潮や
「あきらめ」 に似たものが存在しているならば 恐ろしいことであり
忽然とスーパーマンが現れた時だけ 喝采をあびせることに終わる
永続的な企業経営者には 「本性」 と 「倫理観」 が常に求められる
山梨県の向嶽寺の得勝和尚が 「成仏の道とは 自心を悟る是なり」 といった
「自心」 とは 「自分の心」 だが 単に今現在の自分だけではない
自分を知ることは 父母以前からある人間の本性そのものを知ることに通じる
「敵を知り 己を知れば・・・」 と孫子は言ったが 先ずは 己を知ることである
「スーパーマンが現れて不満を解消してくれるかも・・・」 の発想がどんなところから
生じているかといえば 時代劇テレビドラマ 「水戸の黄門さん」 「○○奉行」 の類が
人気性を持続していることに相通じるものがある
これらの番組に共通するのは 家老 (官僚) 奉行 ( 取締当局) 商人 (企業家)
やくざ (総会屋) が 手を握って何でも すき放題にやれることである
しかし最後には期待通りのスーパーマンが現れて成敗してくれる
このドラマのストーリーが感情をなだめて 安堵感を与えている
結果を期待するだけで自ら立つことを希薄にさせているとしたら
世の中益々おかしくなる
世間の心理を逆用し一時のスーパーマンになれるかもしれないが
やはり 「己を知り 利己に走らず 己の役割を全うする」 ことが どの分野においても
指導者の必要条件である
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