住職である私は 自然科学に興味が深く テレビは 「動物 ・ 植物の生態」 や
「秘境 ・ 極地など地球の自然科学」 の番組を見ることが ついついと多くなる
一言で 「動物 ・ 植物 ・ 自然界は嘘をつかない」 「あるがままを示す」 からである
高校時代は 山岳部で四国の山を あちこちと散策したものでした
大学時代に (私の専攻は化学で) 南極観測の越冬隊長も務めた鳥居教授がおられて
文部省の極地研究所にお邪魔したり 講演をお願いしたり 親しくさせて頂いた
その時に 初代の観測隊長 ・ 西堀栄三郎先生 (京大教授) のことを知った次第です
実は 大学に残り 「南極観測に参加したい」 と希望したのであるが
父から猛反対されて 実現せず しかたなく住職になる方向に軌道修正した経緯がある
<西堀先生は こう云っておられる> 「思いもよらぬことは起こると考える」 ということは次のような
話です
日本が初めて南極へ行く時に 私はいろいろな準備をいたしました
その準備のやり方は 全てロジック (論理 ・ 理屈)です
男ばかりが行くから まず何が起こるか判らんし あるいはノイローゼになるかも判らないから
電気仕掛けの (頭に当てて) ピーンとさせる機械まで用意した
ありとあらゆるものを考えて持って行ったのです
食料品の関係では ラジオ番組の料理の先生ワタリさんが 親切な方で一年分の献立をピシャーと
作ってくれた
「○月○日 朝は何々 夜は何々」 と 「こと細かな書き物」で
心の中では 「どんなことが起こるか判らんのに 何の役にも立たんぞ」 と思った
折角作ってくれたから 「どうもありがとうございます」 と言ったところ調子に乗って
「西堀さん 飽きないように順序良く工夫して カロリーも計算しているから・・・」 と
私も 「はい」 と返事するが 心では 「この通り行くはず無い」と思っているのです
「思いもよらぬことは起こるに決まっている」 と こう思っているわけですよ
私はそう思い 係の者に 「書いてある数字を全部集計して 2倍にしておけ」 と こう言ったわけです
いよいよ観測船 ・ 宗谷が赤道直下のインド洋に来ました 「何か臭いぞ・・・」 ってね
ハム ・ ソーセージ類が腐っているので 「どこに入れとったのだ・・・」 と
「はい 冷蔵庫の前に置いて・・・」 全く! 冷蔵庫の前で冷えると思ったのですかね?
ともかく 2倍にしたから冷蔵庫に入らなかったということです
犬なら食べるかと思ったが 犬も食わない次第で 全てがポイです
さぁ 料理のワタリ先生の計画通りにいきません
南極に着く前から 思いもよらぬことが起こった次第です
<住職のコメント>
① いくら調査や予定をしても 思いもよらぬことが起こる
② いくら準備をしても 万全ではない やはり 思いもよらぬことが起こる
③ どうも あるところで覚悟をしないといけないのであろう
④ この 「覚悟をしておく」 ということが肝腎なのである
次回は 「覚悟をしておく」 についてお話しましょう
2005年10月25日
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