和尚の小話
 
 
 


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 [7]   思 い も よ ら ぬ こ と は 起 こ る と 考 え る  <平常心シリーズ(1)>
 
住職である私は 自然科学に興味が深く テレビは 「動物 ・ 植物の生態」 や
 
「秘境 ・ 極地など地球の自然科学」 の番組を見ることが ついついと多くなる
 
一言で 「動物 ・ 植物 ・ 自然界は嘘をつかない」 「あるがままを示す」 からである
 
高校時代は 山岳部で四国の山を あちこちと散策したものでした
 
 
大学時代に (私の専攻は化学で) 南極観測の越冬隊長も務めた鳥居教授がおられて
 
文部省の極地研究所にお邪魔したり 講演をお願いしたり 親しくさせて頂いた
 
その時に 初代の観測隊長 ・ 西堀栄三郎先生 (京大教授) のことを知った次第です
 
実は 大学に残り 「南極観測に参加したい」 と希望したのであるが
 
父から猛反対されて 実現せず しかたなく住職になる方向に軌道修正した経緯がある
 
 
 
<西堀先生は こう云っておられる> 「思いもよらぬことは起こると考える」 ということは次のような
 
話です
 
日本が初めて南極へ行く時に 私はいろいろな準備をいたしました
 
その準備のやり方は 全てロジック (論理 ・ 理屈)です
 
男ばかりが行くから まず何が起こるか判らんし あるいはノイローゼになるかも判らないから
 
電気仕掛けの (頭に当てて) ピーンとさせる機械まで用意した
 
ありとあらゆるものを考えて持って行ったのです
 
食料品の関係では ラジオ番組の料理の先生ワタリさんが 親切な方で一年分の献立をピシャーと
 
作ってくれた
 
「○月○日 朝は何々 夜は何々」 と 「こと細かな書き物」で
 
心の中では 「どんなことが起こるか判らんのに 何の役にも立たんぞ」 と思った
 
折角作ってくれたから 「どうもありがとうございます」 と言ったところ調子に乗って
 
「西堀さん 飽きないように順序良く工夫して カロリーも計算しているから・・・」 と
 
私も 「はい」 と返事するが 心では 「この通り行くはず無い」と思っているのです
 
「思いもよらぬことは起こるに決まっている」 と こう思っているわけですよ
 
私はそう思い 係の者に 「書いてある数字を全部集計して 2倍にしておけ」 と こう言ったわけです
 
いよいよ観測船 ・ 宗谷が赤道直下のインド洋に来ました 「何か臭いぞ・・・」 ってね
 
ハム ・ ソーセージ類が腐っているので 「どこに入れとったのだ・・・」 と
 
「はい 冷蔵庫の前に置いて・・・」 全く! 冷蔵庫の前で冷えると思ったのですかね?
 
ともかく 2倍にしたから冷蔵庫に入らなかったということです
 
犬なら食べるかと思ったが 犬も食わない次第で 全てがポイです
 
さぁ 料理のワタリ先生の計画通りにいきません
 
南極に着く前から 思いもよらぬことが起こった次第です
 
 
 
<住職のコメント>
 
@ いくら調査や予定をしても 思いもよらぬことが起こる
 
A いくら準備をしても 万全ではない やはり 思いもよらぬことが起こる
 
B どうも あるところで覚悟をしないといけないのであろう
 
C この 「覚悟をしておく」 ということが肝腎なのである
 
次回は 「覚悟をしておく」 についてお話しましょう
 
 
                                             2005年10月25日
 
 
 
 
 



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