和尚の小話
 
 
 


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 [5]   お 盆 は 仏 教 の 最 大 行 事
 
ある檀家さんの法要の席で  「和尚さん お盆 とはどういう意味ですか?」 と
 
尋ねられた
 
その場に お茶と菓子を載せた 「盆」 があったので すかさず 「これです」 と
 
差出し 「こちらが裏盆 (孟蘭盆) で こちらが表盆や」 と表裏を交互に見せたら
 
大爆笑でした
 
「和尚さん そのお盆でなく 先祖供養のお盆のことをきいているのです」 ときた
 
「いやいや それもこれも 同じ一つのお盆や」 というたら 皆さんびっくりしていた
 
いきなり 仏教の歴史を語ると 皆さん頭が痛くなるから
 
あえて笑いから入りましたが 「お盆とは 同じ一つの言葉です」
 
「盆」 という字は 「皿」 を 「分」けると二文字で出来ていますよね
 
この 「分かち合う」 ところがミソなんです
 
いつの時代も 食欲は人の競争が伴い  ときには戦いにまで 進展してきました
 
しかし 仏教は独り占めの エゴ を認めないんです
 
豊かな時期だろうが  飢餓の時期であろうが  どんな時も 在るものを均等に
 
「分かち合う心」 を持てと 教えてきました
 
 
互に持てるものを施し合えと説いたのです
 
ものやカネだけで無く  思いやりの心や手を差し伸べる等
 
いくらでも方法はあるんです
 
 
お釈迦さんは これを 「布施」 特に 「無財の七施」 という言葉で説いています
 
だから 年一回くらいは お釈迦さんの言うように  「お互いが思いやる心」 で
 
ご先祖様とともに過ごせたら  仏のような温かい ・ すがすがしい心に
 
なれるでしょう
 
お盆に 田舎に帰省して みんなが集まる機会をご先祖様が
 
与えてくれているんです
 
だから「生仏」と「死仏」が一同に過ごせるから「仏教最大の行事」 というんです
 
「判ってくれますか」 というと 「なるほど お盆は自分らのためにあるんや」 と
 
気付いてくれました
 
 
 
 
さて これから先は少々専門的な話になりますので
 
興味のある方は お付き合いください
 
最初のところで 「盆の表裏」 を見せて 「裏盆や」 と言いましたが地方により
 
「お盆」 を 「ウラ盆」 と呼ぶことがあり  「裏盆」 「表盆」  とおどけた次第です
 
お茶の世界は 「裏千家」 「表千家」があるが
 
「お盆にはウラ ・ オモテはない」 のです
 
正しくは 「ウランバーナ」 のことを 「孟蘭盆会(うらんぼんえ)」 と呼んだのが
 
始まりです
 
これを圧縮して 「ウラ盆」 というようになったようです
 
 
 
ところで 「ウランバーナ」 とは サンスクリット語で 「逆さ吊り」 のことでして
 
ここにきて 生くさい話になってきましたが ご勘弁ください
 
実は お釈迦さんには目連という弟子がいて 彼のお母さんが 餓鬼道に落ちて
 
成仏できず 何も口に食せず 逆さ吊りになっていたそうで 何とか助けたいと
 
お釈迦さんに相談したところ  「近隣のお坊さんに 山海の珍味を施し」
 
そのお坊さんに 「施餓鬼 (せがき) 供養」 をしてもらいなさいと教えたんです
 
すなわち 有縁無縁 ・ 三界万霊 ・ 諸精霊 すべてに均等に分かち合い ・
 
施しあうことを説いたのが 始まりなんです
 
だから 「お盆」 の行事は 餓鬼に施す 「施餓鬼 (せがき) 供養」 を行うのが
 
恒例なんです
 
 
 
この世に自分が存在しているのは言うまでも無く 両親があったからで  その
 
両親にも両親があり 何代もさかのぼると 何千何万のご先祖様があるのです
 
その有難い血が流れていると感じ  命の尊さを自覚して
 
人生を大切にして欲しいんです
 
今日の一日は二度ときません
 
一日一分一秒を有意義に過ごさないとご先祖様に申し訳ないでしょう
 
更に 私たちは自分一人の力で生きているのではなく 生かされている尊さを
 
自覚せねばなりません
 
周りの人々に限らず 太陽 ・ 空気など 自然万物のおかげで
 
生かされているのです
 
そう自覚すれば 自然と感謝の念がわいてくる
 
 
 
年に一度のお盆です
 
お仏壇やお墓をきれいにお掃除して 更に自分の心のお掃除もして
 
美しい清らかな心でご先祖様をはじめ  万物すべてに報恩感謝の合掌を
 
いたしましょう
 
 
 
 「合掌で 調和のとれた 明るい社会」 大本山東福寺の提唱する生活指針
 
 
                                     2005年8月
 
 
 
 
 長覚寺 大施餓鬼(2005年8月12日)

長覚寺 ・ 大施餓鬼(05.08.12)

 
 
 



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