お 経 の 話U

 
<参考文献>
 
                        * 「般若心経現代語訳」 東福寺派本願寺 ・ 稲栄和尚 (S10年)
 
                        * 「一切は空 ・ 般若心経」 天竜寺管長 ・ 平田精耕著 : 集英社
 
                        * 「般若心経」 妙心寺派龍源寺住職 ・ 松原哲明著 : 三修社
 
                        * 「般若心経」 ビギナーの為 ・ 遠藤誠著 : 現代書館
 
                        * 「こだわりを捨てる ・ 般若心経」 ひろさちや著 : 中央公論社
 
 
 
 
 

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 [22]   無 苦 集 滅 道
 
【経文】
 
無苦集滅道
 
【読み方】
 
ムクシュウメツドウ
 
【現代語訳】
 
苦集滅道もなし
 
 釈迦は 「苦 ・ 集 ・ 滅 ・ 道」 を 「四諦シタイ」 の言葉で表し
 
 仏教の根本原則とした
 
 「諦」 の字は 通常 「アキラメル」 との意味で使うが
 
 仏教では実際には「アキラカ」にする
 
 事実を「ハッキリ」させるという意味である
 
 「四つの事実をハッキリさせる事もなし」 という
 
 
<解説> 今回のキーワード 「四つの諦」
 
四諦の最初は 「苦」 である 「苦」 とはどういうものかというと
 
人は生まれながらに苦しみを背負った存在であり
 
生老病死という言葉に集約される
 
更に苦はどこから起こるかというと 
 
“生まれた” ということ “死にたくない” ということ
 
そのような執着があるから人間は死ぬことがつらいのである
 
「集」 とは集めて起こす 集まって起こるということであり
 
前述したが 「五薀」 の 「色 ・ 受 ・ 想 ・ 行 ・ 識」 が集まって “死にたくない”
 
“いつまでも生きていたい” “いつまでも若くありたい” との気持ちが起こる
 
人を苦しめているのは 生まれたり死んだりすることではなく
 
“いつまでも生きたい”“死にたくない”という執着が人間に苦しみを起こしている
 
これが 「集」 という言葉の意味である
 
では そういう執着を滅すためにはどうしたらよいか
 
それを 「滅」 するためには 正しい 「道」 がある
 
この道という言葉は 滅の世界 ・ 涅槃寂滅の世界に至る道である
 
これら 「苦集滅道」 の四諦を釈迦は しきりに弟子たちに教えた
 
苦集滅道の四諦をやかましく教えたが 教えたらそこに新たな執着が起こる
 
ここが人間の大変難しいところで 
 
このところを般若心経では 「苦集滅道も無い」 と喝破している
 
釈迦の教えといえども それに執着すれば釈迦の真の教えではない と
 
大胆な宣言をしている
 
そもそも釈迦は国の太子でありながら地位・妻子・父母をすてて29歳で出家した
 
出家とはホームレスではなく 大乗仏教の基本原理である出世間のことである
 
即ち “世間の物差しを捨てること” だと考える
 
世間が持つ物差し ・ 価値観を捨てること
 
私たちは世間の物差し価値観に縛られて奴隷になっている
 
そんなもの捨てて自由になれというのが出世間である
 
悩まずに行動できる人はそれでいいのだが それが重くのしかかっている人は
 
それをいったん捨てろといいたい そして自由になるべきである
 
「般若心経」 はそう教えている
 
 
 
                                  2007年2月18日
 
 
 
 



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