大人には自分が 「裸の王様」 になっていることに気づかない
<解説>
人は ことばの魔力にしばられて物事の本質を見失いがちだ
このように本質にからみついて見えにくくしてしまうことばを 禅語で 「葛藤」 と呼ぶ
「裸の王様」 という童話では
「悪人には見えない着物」 をつくると称する仕立て屋のペテンに
王様はじめ町中の大人がすっかりだまされてしまう
本当は見えないのだが 見えないと言えば悪人だということになるし
ほかのみんなも見えると言っている そこで葛藤が生まれるわけだ
王様は裸だと ありのままの真実が見えたのは 葛藤のない子どもだけであった
さまざまな思惑やことばに がんじがらめにされて ことを複雑に考えるあまり
大人はなかなか自分が裸の王様であることに気づかないでいるようだ
たとえば こう問われたら あなたはどう答えるだろうか
「お坊さんはナンで頭を剃るのか」― 煩悩を断つためとかなんとか
それらしい答えでいろいろと甲論乙駁(こうろんおつばく) あるところだろうが
あんがい正解は 「カミソリで」 ということになるかもしれない
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