人生は “夢” である
<解説>
宮本武蔵の師である沢庵和尚の遺偈(ゆいげ)は 「夢」 の一字であった
但し 添え書きに曰く −−− 「是(ぜ)もまた夢 非もまた夢 弥勒もまた夢
観音もまた夢 仏云く まさに是(かく)の如きの観を作(な)すべし」 と
「荘子」に荘周が夢で蝶になった話 −−− 人間の荘周が蝶に化けたのか
それとも実体が蝶で 蝶が夢を見て荘周になっているのか −−− が出てくるが
沢庵も死にのぞんで荘周と同じような心境になり 人生そのものを夢と見立てたのだ
夢である以上 思い残し 執着は一切ない
沢庵は一字を書くことで そう言いたかったのである
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