人生は苦しくて当たり前と 開き直ることが大切である
<解説>
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」 と林芙美子は嘆じた
まことにこの世は 「苦の世界」 であるが 釈尊は人間の基本的な 「苦」 を四つに分類した
生・老・病・死 ・・・これを 「四苦」 と呼ぶ
老・病・死の三つはそのままわかるが 「生」 が苦であると言うのはわかりにくい
これは人生の苦だとする説もあるが 釈尊ははっきり「生まれる」ことの苦しみだと言っている
人間だれしも自分の出生時の苦しみは覚えていない
三島由紀夫は克明に記憶していたそうだが
考えてみると 狭い産道を突破し 頭を下にして生まれてくるのは苦行であったに違いない
みんな忘れているだけかもしれない
この四苦に加えて 釈尊はさらに四つの苦を挙げる
愛別離苦アイベツリク : 愛する者との生別 死別
怨憎会苦オンゾウエク : 恨み憎む者と出会う苦
求不得苦グフトクク : 求めるものが得られない苦
五取薀苦ゴシュウンク : 人間存在そのものが苦である(五薀とは肉体と精神)
以上合わせて 「八苦」 になる
日本でいう四苦八苦とは ここから出たものである
林芙美子ならずとも 人生はこのように苦ばかりだとすれば
人生は苦しくて当たり前と 開きなおって生きるほかあるまい
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