力のない者でもベストを尽くせば 力あるもの以上のことができる
<解説>
力のない者でもベストを尽くせば 力のありあまる者以上のことができる
このことを仏教では 「貧者の一灯」(ひんじゃのいっとう)といって つぎのような説話で教えている
王舎城の片すみに 貧乏な老婆が住んでいた あるとき 釈尊が町へ来るというので
王様が万灯をかかげて供養することになった
これを聞いた老婆は 自分も一灯だけでも献じたいと 物乞いをし わずかばかりの金を得て
一灯のための油を買いに行った
すると 油屋の主人は 「あなたは 明日の食事にも困っているのに なぜ灯油を買うのか」 と聞いた
老婆が 「貧しい自分だが せめて一灯だけでも供養したい」 と やっとのことでお金を乞うてきた話をすると
油屋は感動して 自分からも喜捨したいと申し出てくれた そして当日 王者の万灯が消え去ったあと
一灯だけあかあかとともり続ける灯があった それが この老婆の献じた灯だったという
「富者の一灯より貧者の一灯」 つまり 同じひとつの行動でも
そこにかけた労苦や犠牲 献身の度合いでその価値が決まるのである
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