人間の欲の根は 掘り起こせない
<解説>
曹洞宗の開祖道元は 只管打坐(しかんたざ)・・・「ひたすら坐禅する」 に徹し
俗界の権力への接近をきびしく排斥した
北条時頼に招かれたときも 短期間の滞在ののち 弟子の玄明にあとを任せ
自身はさっさと越前の道場へ帰ってしまった
だが 玄明は 時頼が寄進した越前六条三千石を唯々として受け
その寄進状を得意げに人びとに示した
道元は怒り 彼を追放したうえ ふだん玄明が坐っていた床下の土を三尺も掘って捨てさせた
われら凡俗の汚土は いったい何尺の深さがあるだろうか
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