つ じ 説 法

 
           <参考書籍>
 
            ・ 講 談 社 「禅語百話」  佐藤俊明 著
            ・ ごま書房 「一日一禅」  ひろさちや 著
            ・ 新 潮 社 「仏教とって おきの話」 ひろさちや 著
            ・ 淡 交 社 「禅語にした しむ」 小堀卓巌 著
                          
                                  など、 主要新聞記事を含む
 
 
   解空第一(げくうだいいち)            2015年11月01日 NO・250


屋根のない小屋に 住めるだろうか



<解説>

いつのころから わたしたちはクーラーなしでは

夏も過ごせないような気になっている           

以前は クーラーなしの電車に乗っても平気だったが           

今は冷房車でないと 暑くてたまらないと思う           

クーラーに拘りが生じた分だけ わたしたちの心は           

不自由になったのではあるまいか


釈尊の十大弟子の一人 須菩提(すぼだい)は

「空」(くう)を理解することにたけていたので「解空第一」と呼ばれていた

ある日 マガダ国の王が須菩提の徳を慕い 彼に小屋を寄進した

しかし 大工はうっかりして 小屋の屋根を葺くのを忘れてしまった

屋根のない小屋では 雨が降れば住居としての用をなさなくなる

にもかかわらず 須菩提はありがたく これに住んだ

すると彼の徳が天に通じたのか 雨がいっこうに降らなくなった

困ったのは農民たちである

彼らは 雨の降らない原因を須菩提の屋根なし小屋に見つけ 王に進言した

王は慌てて屋根を葺き これ以降また雨は降り始めたという


須菩提は 屋根があろうがなかろうが そんなことは おかまいなしだった

このこだわりのなさが「空」(くう)である

「空」を知れば この世に何の不便もない

不便を感じない心は 同時にきわめて自由である









 
 
 
  


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最終更新日:2015/11/01