・・・ 般若心経の一節
屋根のない小屋に 住めるだろうか
<解説>
いつのころからか 私たちはクーラーなしでは夏を過ごせない
昔はクーラーなしでも平気であったが 今は冷房なしでは耐えられない
クーラーにこだわりが生じた分だけ 私たちの心は不自由になったといえる
釈尊の十大弟子の一人 須菩提(すぼだい) は
「空」 を理解することに たけていたので 「解空第一」 とよばれていた
ある日 マガダ国の王が須菩提の徳を慕い 彼のために小屋を寄進した
しかし 大工がうっかりして屋根を葺くのを忘れた
ひとたび雨が降れば用をたさない
にもかかわらず 須菩提はありがたく 屋根なし小屋に住んだ
すると須菩提の徳が天に通じたのか 雨がいっこうに降らない
困ったのは農民たちである 農民たちは雨の降らない原因は
須菩提の屋根なし小屋だと 王に進言した
王は慌てて屋根を葺かせたら これ以降は雨が降り始めたという
須菩提は 屋根があろうがなかろうが おかまいなしだった
この こだわりのなさが 「空」 である
「空」 を知れば この世に何の不便もない
不便を感じない心は 同時に きわめて自由である
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